おなべバーモック

みなさんこんばんは、ライフ部門のあいです。

今日は私が昔から行っているおなべバーのお話をしたいと思います。

新宿二丁目の仲通りにあるおなべバー モックさん。名前のとおりおなべさん…つまりFtM(生まれたときの身体は女性、心は男性)やFtX(生まれたときの身体は女性、心はどちらでもないことを望む人たち)の方が店子さんをしているお店で、アド街でも紹介されたことのあるお店です。

ノンケさん(性自認と身体の性別が一致していて、恋愛対象が異性の方。ノーマル、ストレート。)も気軽に入店可能ないわゆる観光バーが増えている新宿二丁目の中でもノンケさんの入店率が高く、とてもフレンドリーな雰囲気。もちろんLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの総称)のお客さんも多いので、多くの人が楽しめるお店です。

長年二丁目に通う私が(といっても行く頻度は高くないのですが)このお店を特に気に入っているのは、ここのママ、大和さんが本当に素敵な方だから。ちなみに大和ママは最近戸籍まで男性になったFtMです。

実は今回、この“モック”さんについて書こうと思ったのは先日モックで飲んでいたとき、大和ママが話してくれたことがとても印象的だったので是非ご紹介したいと思ったからなんです。

言葉に囚われすぎないで

このブログを読んでいて、もしかしたら“おなべ”という言葉がひっかかるという方がいらっしゃるかもしれません。

おなべは、おかまの対義語として用いられる言葉で、性同一性障害やFtM、MtF(生まれたときの身体は男性、心は女性)といった言葉が普及してきた現在では差別用語として嫌がられることも多い言葉です。

私自身、たとえばメディアなどで笑い物にしたり、偏見を助長するような文脈の中で“おかま”や“おなべ”といった言葉を使うことを快くは感じておりません。

しかし、差別的な意味ではなくその言葉を使う当事者やアライ(LGBTの理解者)に対してその言葉を真っ向から否定するのもちょっと違うのではないかと思いました。

思いました、というのは先程ご紹介した新宿二丁目の“おなべバー モック”のママ、大和さんが先日こんなことを言われていたからです。

『おなべという言葉を差別だー、と否定する人がいるけどFtMやMtFという言葉が出来る前。おなべやおかまと呼ばれ、自称した人たちがいたから今LGBTに対しての理解が広まっているのにね。』

これはにはなるほど!と心から思いました。忘れているわけではありませんが、普段は意識しない“先人たちの功績”に甘えている自分がいたことに気付きました。

自分や親、あるいは友達の力で私は今の自分に辿り着きました。しかし、その前提には今よりも差別が強い環境に堪え、その中で変革をもたらしてくれたLGBTの先輩がいたことを忘れてはいけないですね。

少し話が逸れましたが、表面的な言葉に反発するばかりではいけないと思うのです。

もちろん、おかまやおなべといった言葉を推奨する意図はありません。ただ、その言葉を発した人の真意を知らずして間違いだ!差別だ!と否定することもないのかな、と思いました。

あえておなべを自称するママ

私の知る限り大和ママはご自身を“FtM”と自称することはありません。

おなべバーで働いていること、長年おなべという言葉をつかってきたからということもあるかもしれません。私にはその真意はわかりませんが、それはママの人生の軌跡とも言える言葉なのではと感じます。

たしかに、今の世代からしてみたらおなべやおかまは差別用語かもしれません。

けれど、中にはおなべやおかまと自称する人は確かにいらっしゃいます。それを無理に言い直させる権利は第三者にはないと、私は考えています。

FtMやMtFという言葉を知った上で敢えておなべやおかまを自称するのならそれはその人のアイデンティと言えるはずだからです。他人に使うならいざしらす、自身をそう呼称しているわけですから。

また、そういった人がいる以上おなべやおかまと言った言葉を差別用語として使う、ましてやLGBT当事者がそうしているなっては傍から見たら内輪もめのように滑稽に映るかも知れません。

LGBTをノーマライズしよう、差別を無くそうと望むならばまずは自分たちも差別的なことをしていないか、見直さないといけないと思い直しました。