こんばんは。
アパレル部門の、しんぽんです。

週末に友達と一緒に、オープンリーゲイで『二十才の微熱』『渚のシンドバッド』『ハッシュ!』『ぐるりのこと。』などの作品で知られる橋口亮輔監督の新作『恋人たち」をテアトル新宿に観に行ってきました。
土曜の18時台の回で観ましたが、話題の作品でもあり、都内単館・週末の上映ってことで結構混んでいました。
思っていた以上にヘビーで重いながらも、色々と考えさせてくれる作品だったなと感じてます。

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『恋人たち』という作品の解説

「ハッシュ!」「ぐるりのこと。」の橋口亮輔監督が、現代の日本で生きづらさを抱えながらもひたむきに生きている3人の男女を主人公に描く絶望と再生の人間ドラマ。主演は橋口監督が続けているワークショップなどを通して見出されたほぼ無名の俳優、篠原篤、成嶋瞳子、池田良。

橋梁のコンクリートをハンマーで叩き破損の有無をチェックする橋梁点検の仕事をしながら裁判のために奔走するアツシ。数年前、最愛の妻を通り魔殺人事件で失い、今なおその喪失感と犯人への憎しみから立ち直れずにいる。自分に関心を持たない夫と、ソリが合わない姑と3人暮らしの退屈な毎日を送る主婦、瞳子。ある日、ひとりの中年男とひょんなことから親しくなっていく。同性愛者で、完璧主義のエリート弁護士、四ノ宮。一緒に暮らす恋人がいながらも、秘かに学生時代からの男友だちを想い続けていた。そんな不器用ながらも懸命に日々を生きている3人だったが…。

引用:allcinema

報われない想いの行く先は?

ネタバレになってしまう部分もあるので、ここから先をお読みくださる方は注意して目を通してくださいね。

奥さんを通り魔事件で殺されてしまい、愛を無くして生きる男性。
皇族の追っかけや、趣味の小説や挿し絵を描くことを趣味にしつつも、夫や姑と退屈な生活を送っている主婦。
学生時代から思いを寄せる男友達がいる、完璧主義者のゲイの弁護士。
今回出てくる3組の主人公たち。それぞれが自分の人生において報われない想いを抱えて生きている様が描かれている作品。

ただただ、普通に暮らしていただけなのに、理不尽な事件に巻き込まれ、状況が一転してしまう。
それはいつ誰にでも起こりうる可能性のある話ではあるけれど、どれほどの心のケアが必要になるのだろうということを考えさせてくれる。
奥さんを殺されてしまった主人公の心の闇は重くて深い。観ているのがとてもしんどく感じられるものでした。
心の闇を癒すのは、治療でも薬でもなく、寄り添ってくれる人や心があるのが一番なのかもしれないとも思わされました。
犯人を法律で裁くために、自分の生活は後回しにして、奔走する姿。そこには怒りや恨みの感情が満載で、復讐心からくる凄みを見せられていると、胃が重たくなるような感覚もありました。
事件の影響で仕事ができなかった時期があることで、金銭に余裕がない主人公。社会的にマイノリティとなっている彼への世間の風は冷たく、マイノリティとして生きることの抑圧感が象徴的に描かれていたようにも思います。

皇族の追っかけをする主婦に関しては、特別な存在への憧れと、一般人の自分というラインできっちり引かれた世界観があるような感じに見え、退屈な生活に大きな不満はないものの、満たされない想いを抱えてるような感じのキャラクターにしていたのかなという感じ。
ひょんなことで知り合うことになった中年男性との関係も、傍からみればのめり込むほどのものではないように思うのに、少しでも優しくされるとよろめいてしまう。
特別扱いされることを心の中で望んでいた彼女には、それを満たしてくれる存在でもあったんだろうなと。
それでも、自分がちょっと憧れた身近の人々の生活はふたを開ければという感じで、退屈だと思っていた生活の方がよっぽど心落ち着く穏やかな時間になるってことが見えてくる。隣の芝は青いってことを象徴するようなエピソードだったかなという気がします。

そして、ゲイの弁護士のエピソード。
誰かに階段で突き落とされてしまう部分があって、そこは可哀相だなと思うこともあったんですけどね。
個人的に、自分が優れていることを当然と思っていて、それを他人にひけらかす傲慢さを感じさせるキャラクターなので自分はまったくこのキャラクターに共感が出来ず。
学生時代からの秘めた想いを抱えながら、友達付き合いだけでも続けているところに、けなげさは感じます。
それでも、このキャラクターに共感が出来ないのは、あまりにも自己中心的に見える性格のせいかも。
自分のことしか見えていない、相手や他人への気遣い・配慮が出来ないタイプの人は、歯車が悪い方向に回りだすと周りから人が去っていくってことを描いているエピソードなのかなと思いました。

あくまで個人の感想なので、作品鑑賞してみるといろいろな価値観や感覚で観られて面白いかもです。
自分も、一緒に行った友達とは意見が結構違ったので。
こういうのが映画を観た後の醍醐味ですよね。
気になった方はチェックしてみて下さいね。

公式サイト
http://koibitotachi.com/

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